冬も本番を迎え、雪国では美しい銀世界が広がりはじめています。雪国に限らず寒い地域へ移住する場合、冬をどう乗り切るかが、移住生活の満足度を大きく左右することはいうまでもありません。どれくらい暖房費がかかるのかや、都内での暮らしでは必要なかった「車の冬支度」、または住宅や日常生活における具体的な防寒対策など、さまざまな疑問が湧いてくるのではないでしょうか?
今回は、「寒い地域へ移住する際の防寒」をテーマに、快適な暮らしに必要不可欠な知識をわかりやすく解説していきます!この記事を読めば、東北や北陸など冬の寒さが厳しい場所での充実した移住生活がイメージできるはずです。
正しい知識と事前の準備をしっかり整え、寒さに負けない暖かく快適な移住生活を実現しましょう!
寒い地域への移住前にチェックすべき住まいと暮らしの防寒ポイントとは?

最初に、寒い地域へ移住する前にぜひチェックしておきたい、“住まいと暮らし”の防寒ポイントを解説します!寒い地域独特の重要ポイントをまとめているので、ぜひご覧ください!
寒い地域の住宅に必要不可欠な断熱性能をチェック
まず、住宅を購入・賃借する際に必要不可欠なのが、寒い空気が住宅内に伝わらないようにする「断熱性能」をチェックしてみることです。ただし、新築住宅であれば壁などにどのような断熱材が使用されているかや、数値で表した実際の断熱性能がわかるものの、築年数が古い中古住宅や賃貸物件だとわからないことが多々あります。
そこで、中古住宅や賃貸物件の内覧時に、目視で断熱性能をもっとも判断しやすいのが「窓」です。窓は外気と接する開口部でもっとも大きな面積を占めるため、住宅の断熱にダイレクトに影響します。
窓の断熱性能のチェックポイントは以下の2点です。
- 窓ガラスの材質
断熱性能が高いのは、3重ガラス(トリプルガラス)>2重ガラス(ペアガラス)>単板ガラス(シングルガラス)の順となります。新築住宅だと最低でも2重ガラスが採用されることがほとんどですが、築年数が古い物件や賃貸マンションだと単板ガラスの物件も多いので注意が必要です。ガラスを横から覗き込み、ガラス層が2つであれば2重ガラス、3つであれば3重ガラスであると判別できます。目視で層がまったく確認できない場合は、高確率で単板ガラスです。 - サッシ(窓枠)の材質
断熱性能が高いのは樹脂サッシ>アルミサッシの順となります。樹脂サッシは、外の冷気を室内に伝えにくく結露に強いのが特徴です。一方で、アルミサッシは安価でかつ耐久性が高いものの、外の冷気を室内に伝えやすく結露しやすいのが弱点といえます。そのため、賃貸マンションでは安価なアルミサッシを採用している物件が多くなりがちです。アルミサッシは鉄っぽい銀色に対し、樹脂サッシは白やブラウンなど、鉄を感じさせない柔らかい色合いとなっており、基本的に見た目で判断できます。
住宅の断熱性能は外部から見えにくいのが現状です。ただ、窓の断熱性能であれば目視で簡単に確認できるので、寒い地域へ移住の際はぜひチェックしてみてください。
寒い地域に適した暖房設備の種類と特徴およびコスト
寒い地域に適した暖房器具として代表的なものが、灯油を使う「石油ストーブ」や「石油(ガス)ファンヒーター」、「電気ファンヒーター」「床暖房」「パネルヒーター」「オイルヒーター」などがメジャーといえるでしょう。
「石油ストーブ」や「石油ファンヒーター」「ガスファンヒーター」は、暖房力が高くすぐに部屋が暖まるのが魅力です。ただしマンションなどの集合住宅では火災のリスクから使用禁止のところがかなり多いため、移住の際に賃貸マンションを借りようとしている方は注意してください。
ただし、豪雪地帯のような寒い地域では、安全性が確保されたFF式(外気を取り込み燃焼させ、汚れた空気を外に放出する据え置き型の石油ストーブ)を設置している賃貸物件も一定数あるため、探してみるのもいいかもしれません。
以下、代表的なこれらの暖房設備の特徴を簡単にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください!
【寒い地域に適した暖房設備の特徴およびコスト】
- 石油ストーブ/石油ファンヒーター/ガスファンヒーター
すぐに暖かくなる暖房力にすぐれるものの、賃貸マンションでは使用不可のところが多い。石油ストーブ・ファンヒーターは灯油交換が必要です。ガスファンヒーターの場合、都市ガスエリアではなく“プロパンガス”エリアでは、ガス代がかなり高くなるため注意してください。
- 電気ファンヒーター
石油ファンヒーターなどと同様に比較的すぐ暖かくなるものの、石油やガスと比べると暖房力は劣り、ランニングコストも高めです。 - 床暖房
ほんのりとした暖かさが床だけでなく部屋全体に広がりますが、新たに設置する場合はリフォームが必要なため、後付けが難しい設備でもあります。 - パネルヒーター/オイルヒーター
温風を発生しないため空気が乾燥しにくく、稼働音も静かなことが特徴です。ただし、暖まるまで時間がかかり、長時間使用すると電気代がかなり高くなります。
寒い地域の新たな救世主?“寒冷地エアコン”のすごすぎるメリットとは?
ここまで、寒い地域で有用とされる主な暖房設備を紹介してきましたが、近年、寒い地域での暖房設備で注目を集めている「寒冷地エアコン」をご存じでしょうか?寒冷地エアコンは、気温が-10℃を下回るような地域や、雪がたくさん積もる地域でも問題なく稼働できるよう特別に設計され、通常のエアコンよりもパワフルであることが特徴です。
そのため、ここ最近は冬の寒さが厳しい地域において寒冷地エアコンが急激に普及しています。実際に、長野県では約8割の人が寒冷地エアコンをえらんでいるというデータもあるくらいです。
ではなぜ、ここまで寒冷地エアコンが注目を集めているのでしょうか?それはズバリ、「暖房力と電気代の安さ」です!寒冷地エアコンは通常のエアコンよりもパワフルでありながら、気温が氷点下を大幅に下回るような環境での電力消費量は、通常のエアコンより低く設計されています。通常のエアコンは、氷点下を下回ると一気に暖房効率が落ちて余計な電力を消費するのに対し、寒冷地エアコンは寒さ対策の各機能が強化されているため、暖房効率が落ちずスムーズに稼働できるからなのですが、かなり意外な結果といえそうです。
また、基本的にエアコン自体が、先ほど紹介した暖房設備と比較してランニングコストがもっとも安く、コスパにすぐれているといわれています。そのなかでさらに電気代が安くなる寒冷地エアコンは、まさに寒い場所での暖房設備における“ベストバイ”といえるのではないでしょうか?ただし、デメリットももちろんあります。それは、「価格の高さ」と「空気の乾燥」です。寒冷地エアコンは通常のエアコンよりも5万円以上高い場合が多く、暖かい空気が出るため空気が乾燥してしまいます。一方で、暖房力がかなり高いため、住宅の断熱がしっかりしていれば、他に暖房設備を併用する必要がない点は魅力的ですね。
当然ではありますが、エアコンであるため夏場は冷房としても利用できることから、日本各地で夏の猛暑日が増える昨今、冬の寒さが厳しい地域において買い替える方が増えているようです。
現代はさまざまな暖房設備があり、それぞれメリット・デメリットがあります。ぜひこちらを参考にしていただき、豪雪地帯のような寒さが厳しい場所へ移住する際の参考にしてください!
参考:【冬到来!】雪国への移住で欠かせない「雪かき」を多角的に解説!便利グッズや雪かきマナー・おすすめ移住も必見!
寒い地域へ移住しても快適に暮らすための防寒対策3選

つづいて、寒い地域で快適に暮らすための防寒対策を3つ紹介します!ホームセンターで購入可能な超簡単テクニックから、絶対に知っておくべき車の冬対策まで、必見の幅広い内容です。こちらもぜひチェックしておきましょう!
DIY可能!室内を暖かくする超簡単テクニック
室内の寒さは、窓と隙間風の対策で大きく改善できます。とくに効果的なのが、ホームセンターで買える「断熱シート」や「すきま風防止テープ」です。
窓の断熱性能は室内の温度に大きく影響するため、貼るだけの断熱シートは簡単なうえ即効性が期待できます。また、築年数の古い物件では、すきま風が部屋に入ってくることがあり、その場合はすきま風防止テープが役立つため、ぜひ試してみてください。また、腰程度の高さの窓でも、カーテンをあえて床まで届く丈にするだけで、暖かさが保たれやすくなるのでおすすめです。
衣類の防寒と外出時のポイント
外出時は、肌着として伸縮性・吸湿性・保温性が高いインナー→綿やウールなどの素材で、インナーとの間に少しすきまが出るサイズ(2枚目)→ニット・スウェット・フリース素材などの服(3枚目)→風を通さない防寒アウターの順に重ねると、防寒の観点から効率がよいといわれています。
また、首にはマフラーを巻いたうえで手袋も着用し、場合によっては耳当ても付けましょう。靴に関しては、雪が積もる移住先であれば靴自体の防水性が高く滑りにくい靴底のものが必要です。さらに、中綿入りのものであればより暖かいので、積極的に選ぶようにしましょう。
絶対に知っておきたい車の冬支度
寒い地域へ移住するなら、「車の冬支度」は欠かせません。まず最重要なのは 「スタッドレスタイヤ」への交換です。気温が7℃を下回るとゴムが硬くなりはじめ、寒い地域の場合、夏タイヤのままだと制動距離が大幅に伸びるため、安全性が大きく損なわれます。そのため、気温7℃を1つの目安として、その時期にスタッドレスタイヤへの交換をおこないましょう。
また、バッテリーは通常2~3年で交換することが多いのですが、寒冷地ではさらに寿命が短くなるため、スタッドレスタイヤ交換時にあわせチェックしてもらうのがおすすめです。さらに、フロントガラスの凍結対策として「解氷スプレー」や「凍結防止カバー」を車に常備しておくと、早朝の外出前に役立ちます。フロントガラスが凍っているからといって、お湯をかけると割れてしまうおそれがあるため絶対にNGです。
ワイパーも冬用の「スノーワイパー」へ交換すると、雪が付着しにくく視界が保ちやすくなります。とくに雪国では、車に積もった雪を取り除く「スノーブラシ」を積んでおくことも重要で、これがないと車体の雪を落とせず走行前の準備に手間取ってしまうため、“マストアイテム”といえるかもしれません。「タイヤチェーン」も備えておけば、急な積雪時でも対応できるでしょう。こうした冬支度を整えることで、寒冷地でも安心して運転できます。
寒い地域、とくに豪雪地帯などの雪が積もる移住先であれば必須の知識となるため、ぜひ覚えておきましょう。
高くなりがちな光熱費を抑えるための防寒・節約テクニック3選

ここからは、寒い地域で高くなりがちな光熱費を抑えるための防寒・節約テクニックを3つ紹介します!氷点下を大幅に下回るような移住先の場合、冬の暖房費は高くなりがちです。知識を深め、少しでも効率よく節約していきましょう!
暖房効率を高める使い方
暖房効率を上げるには、エアコンの設定温度よりも「風向き」と「空気循環」が重要です。まず、エアコンの暖かい風は部屋の上部へ溜まるので、風を下に向けましょう。サーキュレーターを併用すると、暖気を部屋全体に拡散できます。とくに、天井付近に溜まった暖気を足元へ循環させる「上向き運転」が効果的です。
また、エアコンは30分程度の外出であれば電源を切るよりも、つけっぱなしのほうが省エネにつながります。同時に、雪国であれば室外機まわりの除雪も忘れないようにしましょう。
灯油代・電気代の地域差とコストを知る
寒い地域へ移住する場合、東京などの大都会と比較して、灯油代や電気代などの暖房費が高額になってしまいます。電気代は電力会社によって料金がちがうのはもちろんのこと、灯油代も地域によって変わってきます。
豪雪地帯などへ移住する場合、冬の暖房費はトータルで月に2~3万円ほど上がると考えたほうがよいでしょう。2024年1~3月の総務省家計調査による電気代平均金額は、関東地方11,323円に対し、東北地方は13,354円、北陸地方13,829円とやはり高くなっています。
また、暖房設備のランニングコストは、一般的にエアコンがもっとも安いといわれているものの、電気料金の値上げが続く昨今ではその差が縮まっているのも現状です。節約することは大切ですが、過度に節約しすぎてQOLが下がらないように気をつけたいものですね。
補助金・助成金の活用で負担を減らす
寒い地域へ移住する場合、地域によっては灯油代に対し補助が出たり、省エネ住宅への改修に助成金が出たりするなど各種支援が活用できます。
こうした制度を併用することで家計の負担を減らすことができるため、希望する移住先にどのような支援制度が整っているか、ぜひ事前に調べておきましょう。
防寒対策して移住しよう!充実した暮らしが可能な超おすすめ移住先3選!

それでは、冬は寒いけど充実した暮らしが可能な超おすすめ移住先を3つ紹介します!ここまでで得られた防寒対策の知識を駆使すれば、真冬でも快適な移住生活が実現可能です。ぜひ移住先えらびの参考にしてください!
【長野県佐久市】晴天率が高く冬でも暮らしやすい多核型都市
長野県佐久市(さくし)は、県代4位の人口を誇る都市で、発展した市街地が複数ある「多核型都市」です。新幹線で東京駅まで約70分という利便性があり、軽井沢へも近いなど充実した暮らしが可能なおすすめ移住先といえるでしょう。
また、佐久市は全国有数の晴天率を誇り、冬は長野県内でも雪が少ないなど暮らしやすさに定評があります。大人気の長野県への移住を検討している方は、ぜひ佐久市を一度チェックしてみてください。
参考:【長野県】県第4位の都市・佐久市へ移住!新幹線で東京駅まで約70分の利便性と発展した市街地・豊かな自然が充実!
【山形県山形市】日本有数のスキーリゾート有する県庁便利な所在地
山形県の県庁所在地である山形市は、日本有数のスキーリゾート「蔵王」を有する移住先です。県庁所在地としての利便性と豊かな山の自然が共存し、地方都市として抜群の暮らしやすさを感じられます。
また、東北有数の医療環境を有し、観測開始以来震度5以上の地震を記録したことがないなど、安心して暮らせることも魅力です。さらに、東北の他都市より降雪量が少ないことも見逃せません。地方移住したいけど暮らしの利便性も手放したくない、という方は、ぜひ山形市がおすすめです。
参考:【山形県】山形市へ移住!発展した都市環境と日本有数のスキーリゾート「蔵王」で最高のライフスタイルを実現!
【新潟県長岡市】自然と市街地のバランスが秀逸で東京へもアクセス良好
新潟県長岡市(ながおかし)は、県第2位の人口を有する都市で、全国的に有名な「長岡まつり大花火大会」が開催されることで知られています。山形市と同様に自然と市街地のバランスが秀逸で、長岡市には海と山の両方があるため、より自然が身近です。
また、長岡市には新幹線が停車し東京駅まで約90分のため、都内への買い物やイベントなどに参加しやすく、2拠点移住も可能であることは大きな魅力といえるでしょう。もちろん、新潟県の雪国であるため、スキー・スノボなどのウインターレジャーも充実しています。便利な市街地で暮らせるものの、より自然に近い移住生活を実現したい方は、長岡市も移住先候補として検討してみてはいかがでしょうか?
参考:【新潟県】長岡市へ移住して日本最大級の花火大会を楽しもう!東京駅へ約90分+ほどよく発展した市街地と自然も充実!
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寒い地域でも快適に暮らせる防寒対策を理解して移住を検討しよう

東北や北陸など寒い地域へ移住する場合、日々の暮らしの防寒対策は必須です。住宅の寒さ対策はもちろん、外出時や「車の冬支度」まで、その範囲は多岐にわたります。
今回は、「寒い地域へ移住する際の防寒」をテーマに、豪雪地帯といった雪国でも快適な冬を過ごせる基礎知識を解説してきました。ぜひこの記事を参考にしていただき、地方移住の第一歩を踏み出しましょう!
※内容は2025年11月執筆時のものです。



