移住コラム

移住と定住の違いとは?移住定住の施策や成功事例を紹介

近年よく耳にする「移住」と「定住」。国で促進していることもあり、注目度が高まっています。しかし、具体的に何が違うのか分からない人は少なくないはずです。

そこで本記事では、移住と定住は使い分けるべきなのか理解できるよう、それぞれの意味について解説します。国が実施する移住促進政策や成功事例なども紹介するので、あわせてチェックしてみてください。

また、「移住に興味はあるけれど行動を起こしているわけではない」「移住先の候補地をピックアップしたい」という人のために、参考になる情報サイトも最後に紹介しています。

移住と定住の違いとは?

移住と定住には、それぞれ異なる意味があります。別の場所に移り住むことを「移住」、これに対して「定住」は一定の場所に住居を決めることをいいます。移住したからといって、一生その土地で暮らすとは限りません。永続的に暮らすことを前提とし、居を構える定住とは、同じ括りにはならないのです。

とはいえ、移住と定住を組み合わせた「移住定住」という言葉をニュースや新聞などで目にしたことがある人もいるでしょう。移住定住とはどんな状況を意味するのか、注目されるようになった背景とともに詳しく解説します。

移住定住が注目されるようになった背景

日本政府は、東京一極集中と地方の人口減少を改善するために、「移住定住促進」を行っています。移住定住とは、移り住んだ場所で永続的に暮らすことです。

まずは人口が集中する首都圏から地方へ移住してもらい、その土地での定住につながるよう国をあげて取り組んでいるのです。

政府や地方自治体が推進していることもあり、移住定住に関心を持つ人は増えています。その背景には、充実した支援制度、テレワークによる働き方の多様化、そして地方に移転・拡充する企業の増加などがあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大も、地方移住への関心が高まる理由の1つになっているようです。

地方創生は国家プロジェクト!移住促進政策を解説

地方創生とは、「東京圏への一極集中の緩和」と「地方の人口減少の抑制」を目的とした政策の1つです。地域経済を活性化し、日本全体の活力向上を図っています。

地方移住に関心が高まっている今、実行してもらうために、国や各自治体ではさまざまな移住促進政策を打ち出しています。それぞれ解説するので、移住定住を具体化したい人はチェックしてみてください。

支援活動に携わりながら移住定住を図る「地域おこし協力隊」

地域おこし協力隊とは、総務省が主催する制度の1つです。都市地域から地方へと一定期間移住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売、農林水産業への従事などを行いながら、その地域への定住を図ることを目的としています。

期間は1年以上3年未満で、各自治体の委託を受けたうえで活動します。また、特別交付税措置として、1人あたり480万円を上限に支援を受けられるところも特徴です。募集内容や活動内容は各自治体によって異なります。希望する場合は、募集している地方自治体への申し込みが必要です。

参考:地域おこし協力隊の概要

学生の地方定着を目指す「地方創生インターンシップ事業」

地方創生インターンシップ事業とは、学生を対象に、地方企業での就業体験プログラムに参加してもらい、移住定住へとつなげる取り組みです。学生にとっては地方での働き方や暮らし方の魅力に気づくきっかけとなり、地方にとっては若者の活動によって地域や企業の課題解決につながる可能性があります。両者にとってメリットのある取り組みです。

インターンシップ受入企業に関する情報は、各自治体の公式HPで確認できます。エリアから探すのもよいですし、職種から選んでみるのもよいでしょう。期間は5日〜2週間ほどの短期的なものから、1ヵ月以上の中長期的なものまでさまざまです。夏休みなどを利用して体験することもできるので、興味のある人はチェックしてみてください。

地方での就業・起業を応援する「移住支援金」「起業支援金」

国が行う支援制度に、移住支援金と起業支援金があります。概要や対象条件は、以下の通りです。

支援制度 概要・対象
移住支援金 東京23区に在住または通勤する人が、東京圏外に移住し、就業または起業した場合、最大100万円を交付。単身の場合は最大60万円。
起業支援金 東京圏以外の道府県、もしくは東京圏内の条件不利地域にて新たに起業した人を対象に、起業などにかかった経費の2分の1に相当する額(最大200万円)を交付。
なお、新たに起業する場合以外にも、事業承継または第二創業する場合も対象。

どちらにも該当する場合は、最大300万円の支援金が受け取れます。移住に興味がある人にとって、背中を押すきっかけとなるでしょう。

参考:起業支援金
参考:移住支援金

各地方の暮らし情報を発信する「ふるさと回帰支援センター」設立

地域活性化を目的に、地方自治体と協力して情報を提供する移住相談センターです。東京都千代田区有楽町にセンターがあり、事前に予約すれば、各自治体の移住担当者に直接相談することができます。オンラインセミナーも実施しているので、直接出向くのが難しい人にもおすすめです。

また、公式サイトには画像を直感で選び、自分に合う移住先を見つけられる「理想の暮らし診断」があります。無料で利用できるので、「情報が多すぎて移住先を選べない」「何から手をつければよいのか分からない」という人は試してみてはいかがでしょうか?

参考:ふるさと回帰支援センター

国だけじゃない!各自治体独自の移住支援政策

各自治体でも、起業支援や住宅建築補助、子育て支援などさまざまな支援政策を行っています。中には、移住体験を実施している自治体もあり、積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。

例えば、鳥取県鳥取市では移住支援金として、2人以上の世帯に50万円、単身の人に30万円を交付。ほかにも移住体験ができる施設や、暮らしを体験できるツアーを開催するなどの取り組みを行っています。

子育て世帯に嬉しい支援を打ち出しているのは、長野県宮田村。高校3年生までの医療費無料化、誕生祝金の交付、小中学校へ入学する子供たちに通学カバンの支給など、手厚い支援が魅力です。子育て世帯の移住者には、取得した住宅及び土地に係る固定資産税相当額を5年間交付する応援金もあります。

このように、自治体によって政策の内容は異なります。移住先が決まっていない人は、政策からチェックしてみるのもよいでしょう。

参考:鳥取市移住支援金
参考:宮田村 子育て世帯を応援!「輝く子育て応援金」

移住定住政策の成功事例

ここからは、移住定住政策を打ち出し、実際に移住者が増加した・効果があったという成功事例を平成29年に内閣府が発表した資料をもとに紹介します。どのような政策を行ったのか、それぞれチェックしてみましょう。

参考:移住・定住施策の好事例集(第1弾)

子育てや住みやすさを重視した「北海道厚真町」

北海道厚真町では、大規模な転出超過が発生して以降、人口は昭和35年の10,597人をピークに、平成20年代には半分以下となりました。そこで、札幌市や千歳空港へのアクセスが良い地域特性を活かし、住環境の整備・新規就農支援・起業者への支援など、さまざまな取り組みを実施。

中でも、内容が充実しているのが子育て支援です。子供1人につき家賃5,000円控除になる「子育て支援住宅」を整備したり、医療費や保育料など子育てにかかった経費を商品券で還元したり、子育てしやすい環境を整えています。

その結果、子育て支援住宅への移住者数は15世帯62名、地域おこし協力隊終了後の定住者は9名、新規起業者数は13名と社会増を達成しています。

若い起業家を発掘・支援する「島根県江津市」

島根県江津市(ごうつし)では、公共事業の縮小による建設業の廃業や、地場産業の低迷などが関係し、人口は大幅に減少しました。駅前には空き家店舗、町には空き家が増えました。そこで打開策として考えられたのが、ビジネスプランコンテストです。


画像出典:山陰中央新報デジタル

ビジネスプランコンテストとは、地域課題の解決につながるビジネスの考案と、チャレンジ精神が強い若者の発掘を目的とした起業家支援の1つ。信用金庫が融資や事業計画をアドバイスしたり、江津市が創業支援制度や支援機関の紹介したり、さまざまな形で起業家をサポートしています。平成22年から開催されて以降、地元素材や地元農産物を使用した事業は14件。

加えて、駅前商店街の活性化を目的に青年部を結成し、積極的な情報提供やイベントを実施しました。平成24年からの5年間で駅前空き店舗活用22件、新規出店32件を実現しています。

地域おこし協力隊をうまく活用する「高知県四万十町」

高知県四万十町は山や海など自然に恵まれた町ですが、進学・就職による若者の流出は年々深刻となっていました。そこで注目されたのが、地域おこし協力隊です。

実際の取り組みとしては、採用人数の拡大や、隊員同士が情報交換できるように専用の事務所を設けるなどを実施。また、特産品の開発や伝統産業の手伝いなど、さまざまなミッションを与えています。このように地域おこし協力隊を積極的に活用することで、任期終了後は参加した11人中7人が定住しています。

ほかにも、次世代園芸施設団地を建設して創業者支援を行うことで、平成26~28年の間で新規就農者・創業者・新規雇用者は183人、移住者は145人という成果を上げています。

移住定住したい人は必見!役に立つ情報サイト3選

移住定住を検討中の人におすすめの情報サイトを紹介します。すでに候補地がある人や、これから候補地を探したい人にとって役立つサイトを集めたので、ぜひチェックしてみてください。

各地域の魅力・仕事情報が見つかる「ニッポン移住・交流ナビ」

ニッポン移住・交流ナビは、一般社団法人 移住交流推進機構が運営するサイトです。全国の自治体や企業から寄せられる、その地域の魅力やイベント、仕事に関する最新の情報を見ることができます。「どの土地に移住しようか検討中」という人におすすめです。

また、実際に移住した人の体験談や、各自治体で行っている支援制度の紹介なども掲載されています。前述で紹介した、「地域おこし協力隊」の募集情報も見られるので、自分の能力を活かせないか、チェックしてみるのもよいでしょう。少しでも興味がある人は、参考にしてみてください。

参考:ニッポン移住・交流ナビ|JOIN

豊富な先輩体験談から移住のイメージを具体化できる「いいかも地方暮らし」

いいかも地方暮らしは、内閣府 地方創生推進事務局が運営するサイトです。地方移住に興味があっても、具体的な行動を起こせていない人を後押しすることをコンセプトとしています。

年齢や背景もさまざまな先輩移住者の体験談を30以上も掲載。「趣味に生きたい」「安心して子育てしたい」など、自分が大切にしたい価値観別に体験談を探すこともできるので、「何のために移住するのか?」という目的を明確にしたい人には、ぜひ覗いてほしいサイトです。

参考:いいかも地方暮らし

その地域の情報をより詳しく知れる「各自治体の移住・定住ポータルサイト」

各自治体で運営している移住・定住ポータルサイトもおすすめです。その地域の魅力をはじめ、仕事や住まい、独自に行っている支援制度などの情報がまとめられています。現在は北海道から沖縄まで、42道府県分のサイトが存在するといわれています。

移住先の候補地がいくつかある人はもちろん、候補地が決まっていない人もポータルサイトを参考に、情報収集へと役立ててみてください。

移住定住を実現し、理想の暮らしを手に入れよう!

移住定住を促進するために、国や地方自治体ではさまざまな取り組みを行っています。各地方自治体が移住支援金の交付や住宅建築補助、移住体験の実施など、差別化を図ろうと独自の取り組みを行っています。手厚い支援政策の影響もあり、移住へのハードルは下がっているでしょう。

「田舎暮らしをしたい」「地元に帰って地域を活性化させたい」など、移住に興味ある人にとって、今がチャンスともいえます。支援政策をうまく活用し、理想の暮らしを手に入れましょう。

移住に迷ったらまずはこれ!
LINEでかんたん移住診断。 何でも聞ける、移住の相談窓口 “スタイルチャット”を覗いてみる
インタビューバナーインタビューバナー
ABOUT ME
移住スタイル編集部
移住スタイル編集メンバーが更新します。移住をこれから検討する方のために、移住に関する、最新情報やノウハウをわかりやすく紹介します!
関連記事
移住に迷ったらまずはこれ!
LINEでかんたん移住診断。