移住コラム

関係人口とは?移住前に地域に関わる方法やユニークな事例を紹介

近年メディアやSNSなどで耳にするようになった「関係人口」というワード。関係人口は、移住に関心をもつ人、自分の居住地以外の地域に何かしら関わってみたい人にとって、大いに関係のあるワードなのはご存知でしょうか?

そこで本記事では、関係人口の定義、注目されている理由や移住前や二拠点生活での地域と関わり方ついて解説します。

関係人口とは?定住人口と交流人口の違い

そもそも「関係人口」とはどんな人のことを言うのか?詳しく見て行きましょう。並べて語られることの多い「定住人口」と「交流人口」との違いもあわせて解説します。

関係人口の意味

関係人口とは、地域と多様に関わる人のことです。具体的には、以下のような人々をさします。

  • 地域にルーツがあり、愛着がある人
  • 二拠点居住をする人
  • 兼業や副業などの仕事で関わりがある人
  • イベントや祭りなどの運営に参画して楽しんだりする人

地方圏は少子高齢化の影響で人口減少に陥り、地域の発展を担う人材が不足しています。しかし、現在若者を中心に多様な人材が地域社会に参画しており、「関係人口」と呼ばれる人達が、地域発展の担い手として活躍が期待されています。

定住人口とは?

定住人口とは、特定の地域に居住している人のことです。また、定住人口は同じ意味で「居住人口」とも呼ばれています。

例えば、親の代からその地域に住んでいる人、移住によって新しくその地域に住む人などが挙げられます。

関係人口との違いは、地域との関係性の深さです。定住人口は、その地域で実際に暮らしており関係性の深さで考えると関係人口よりも深い関係だと言えるでしょう。

ただし、関係人口として自治体に関わりを持った人が、交流を続けるうちに定住人口に変化する可能性は十分にあります。そのため、地方自治体は移住希望者はもちろん、まずは関係人口をきっかけに自治体に興味を持ってもらうべく、ユニークな取り組みを行い地域の魅力を発信しています。

交流人口とは?

交流人口とは、全国各地から特定の地域に訪れる人。または地域と交流する人のことです。

例えば、スポーツ観戦、レジャー、転勤、通勤/通学、観光、文化鑑賞、ショッピングなどをきっかけにその地域へ訪れた人が挙げられます。

関係人口との違いは、何かしらの目的があるかどうかです。交流人口は個人の目的を果たすために地域に訪れることが大半です。

そのため、交流人口は関係人口や定住人口に比べ、地域との関わりは深くありません。しかし、何かのきっかけでその地域に愛着を持ち頻繁に訪れるケースもあります。

関係人口が注目される背景や意義について

地方に新しい風をもたらす存在である「関係人口」が、なぜ近年注目されているのでしょうか。ここでは、その背景や意義について解説します。

労働力不足や地場産業の後継者不足を解決できる

関係人口が注目される1つ目の理由は、地方での人手不足が挙げられます。少子高齢化が進む地域に関係人口が増えることで、地場産業を支える人材の確保ができたり、伝統的工芸品産業の後継さ不足を解決できたりと、地域経済を活性化できるメリットがあります。

そのため、関係人口は、地域づくり支援の担い手として活かせることから、慢性的な人手不足に陥る分野の問題を解決できます。また、地域に新しい人や考えが入ることにより、さらに住みやすい街、住みたいと思われる街へと地域活性化が期待されています。

東京一極集中を是正し首都機能を地方に分散する

2つ目の理由は、人口や労働力の東京一極集中を是正し、地方の活力を生み出すことで日本の実力を高められるからです。首都機能を地方に分散することは、停滞感の強い日本を打開するきっかけになり、様々な波及効果が期待されています。

最近では人口減少が進む各地の地方自治体で「関係人口」創出に関わる新しい施策が行われています。移住は現実的には難しくても、地域と関わりたい人は一定数いるため、関係人口を増やす施策は長期的な地域活性化に繋がる可能性が高いです。

デジタルの発展で働き方・暮らし方の選択肢が増えている

3つ目の理由は、現代社会においてインターネットをはじめとしたデジタルの発展で、働き方・暮らし方の選択肢が増えているからです。

例えば、リモートワークの発展で都心から地方へ移住して働いたり、経済的な成功よりも健康的な生活を志向する人が増えたりなど、新しい生活様式が変化をもたらしています。

今後さらなる普及により社会全体のデジタル化が進むことが予想されており、近年のライフスタイルの多様化なども後押しとなって、関係人口の創出・拡大が期待されています。

関係人口から始める移住への第一歩

関係人口となる人が、地域への移住を目指す具体的な方法とデータから分かる移住に興味を持っている割合について解説します。

関係人口の移住意欲は高い傾向に

特定の地域に多様な形で関わる「関係人口」の移住意欲の高さは、株式会社ブランド総合研究所「関係人口の意識調査2021」で明らかになっています。

関係人口が関係する都道府県への調査では「すぐにでも移住したい」が4.9%、「いつかは移住したい」が12.1%、「住んでもよい」が20.1%と合計37.1%が移住に対して肯定的な考えを持っていることが分かりました

対して「あまり思わない」がほぼ同数の35.7%という結果になっています。このデータから分かることは、地域と多様に関わる関係人口は、移住に興味を持っている割合が多いということです。

もしあなたが将来的な移住を検討しているのであれば、まずは関係人口として地域へと継続して関わりを持ち、移住への第一歩にしてみることをおすすめします。

引用:「関係人口の意識調査2021」調査開始。史上初・関係人口の推定も実施!

関係人口なら気軽に地域に関わることができる

関係人口として、地域と強い関わりを持つことができれば、地域の人々と深いつながりができたり、地域貢献にも繋がったりと様々なメリットがあります。

例えば、仕事の関わりやイベント・祭りなど運営の参画では、気軽に地域の人達と関わることができるため、身をもって地域の特徴や魅力を知ることができます。

移住を検討されている方は、まずは地域の伝統行事へ参加してみたり、自治体が取り組む事例などを確認してみたりと、少しずつ地域との関わりを増やしてみましょう。

地域をじっくり知ることで相性を見極められる

関係人口になれば、興味がある地域を少しずつじっくりと知ることができるため、より具体的に自分との相性を見極めることが可能です。

例えば、現地の人と交流したり、移住体験を通じて田舎暮らしを楽しんでみたりと、関係人口ならより広い視点からその地域を知ることができるでしょう。そのため、移住を希望する地域の深い情報を得ることができる点がメリットです。

多種多様だからぴったりが見つかる!地域との関わり方

関係人口として地域と関わるきっかけは十人十色です。ライフスタイルの変化や趣味など、自分に近いもの、合うものを見つけてまずは気軽に関わってみましょう。

リモートワーク・テレワーク

以下のような働き方の変化や多様化で、「もっとリラックスできる環境で仕事がしたい」「仕事の合間に自然と触れ合いたい」と思う人も多いでしょう。

  • リモートワーク・テレワーク中心で、出社がほとんど必要ない
  • フリーランス等のノマドワーカー

ネット環境さえ整っていれば都心も地方も関係ないため、小旅行を楽しむように地方へワーケーションに出かけ、お気に入りの土地を探してみるのはいかがでしょうか。

里帰り出産や二拠点居住

出産を機に地元へ里帰りする人や、地方で暮らしたいと思いながら都会で仕事を続けなければいけない場合は、二拠点居住を始める人もいます。

例えば、「自然の中で子育てしたい」という理由で都心から一定期間地方へ移住したり、1ヶ月のうち2週間は都心、残りの2週間は地方で暮らしたりすることができます。

そのため、ライフスタイルの変化に伴い移住に興味を抱き、新しい生活スタイルとして居住を始める方が年々増えています。

スポーツ観戦・グルメ巡り等の趣味

関係人口の中で最も多いのは、スポーツ観戦やグルメ巡り等の趣味・消費型タイプです。地域や人縁が無いものの、趣味を通じて特定の地域と関わる人達もいます。

趣味をきっかけに特定地域に定期的に訪問する人の中には、移住に興味がある方もいるため、趣味を楽しむ活動の場として、特定地域に移住するケースもあります。

ふるさと納税制度の活用

ふるさと納税制度とは、自分が選択した地方自治体に寄附を行うことで、寄付額のうち2,000円を超える部分において、所得税と住民税から全額控除される制度です。

寄附金の使い道は自身で選択でき、地域のお礼の品や名産品を頂けたり、農業体験や里山・田舎体験などの移住体験プログラムに参加できたりします。

ふるさと納税制度を利用したことが地域の魅力を知るきっかけになり、将来的な移住の実現につながる可能性もあります。

ユニークな関係人口取り組み事例

近年、各自治体も関係人口を増やすための施策に熱心に取り組んでいます。ここからは、「関係人口」を増やすためのユニークな取り組み事例を紹介します。

道東ホースタウンプロジェクト【北海道標茶町】

明治から軍用馬の馬産地として栄えた標茶町。「道東ホースタウンプロジェクト」とは、乗用文化と美しい自然を活かし「馬を核とした地域づくり」を目指すことを目的とした、北海道標茶町と民間企業による官民連携プロジェクトです。

他の地域ではできない馬との体験を提供することで、馬事関連事業の安定的継続や地域全体の活性化、全国の乗馬ファンが標茶町を知ってもらうきっかけを提供する活動をしています。

出典:道東ホースタウンプロジェクト

佐藤の会【栃木県佐野市】

「佐藤の会」とは、全国200万人ともいわれる苗字・佐藤さんのゆかりの地とされる唐沢山城跡を、全国の佐藤さんと共に聖地化し、新しい関係人口の拡大を目的として栃木県佐野市が立ち上げたコミュニティです。

藤原秀郷公が残した文化的財産・歴史や、佐野市の魅力を発信し、関心を持ってくれた人と繋がることで、地域復興の創出に繋げ佐野市を活性化させるプロジェクトです。

出典:「佐藤の会」公式ホームページ | 栃木県佐野市

酒米田んぼのオーナー制度【茨城県笠間市】

「酒米田んぼのオーナー制度」とは、茨城県笠間市で140年以上続く地元笠間の蔵元、磯蔵酒造にて、環境に優しい米づくりを応援してくださるオーナーを募集する制度です。

自身が酒米田んぼのオーナーとなることで、地域の食文化や自然環境を守ったり、環境保全型農業に取り組む生産者や地域全体を応援したりすることにつながります。

出典:酒米田んぼのオーナー制度|全国の取組 – 総務省
出典:2019年度 酒米田んぼのオーナー制度 オーナー募集について

淡路島日本遺産RPG | はじまりの島【兵庫県淡路島】

「淡路島日本遺産RPG | はじまりの島」とは、兵庫県淡路島を舞台に、ゲームの主人公となって歴史スポットや観光スポットを巡りながら、島の探索ができるご当地ゲームです。

淡路島の伝統文化や風土などの魅力を遊びながら体験できたり、ゲームで配布されるクーポンを使用すれば、淡路島にある26の観光施設で利用することができたりします。

出典:淡路島日本遺産RPG | はじまりの島

移住や多拠点生活への扉を関係人口から開いてみよう!

「将来的に地方移住したいな」と考えていても、今すぐ実現するのは難しいケースもあるでしょう。そんな方は、まず関係人口をきっかけにさまざまな自治体と接点を持ってみてはいかがでしょうか。

現地に住む人とコミュニケーションを図って地域の魅力や特徴を知ったり、移住経験などを通じ地域暮らしを体験したりして、楽しみながら地域との相性を見極めてみましょう。

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