移住コラム

老後移住の前に知っておくべきこととは?メリットやデメリット、移住成功のポイントなどを徹底解説

これまでの仕事を定年退職し、豊かな「セカンドライフ」を謳歌するため、老後に移住する方が増えています。せわしない都会からのんびりとした地方へ移住し、ゆとりある生活や趣味に没頭できることは、これまで頑張った人生へのご褒美といえるでしょう。

しかしながら、理想の移住生活を送るには老後移住についてさまざまな角度から情報を収集しなければなりません。老後移住のメリットやデメリット、移住先を選ぶポイント、そもそもいくらくらい資金が必要なのか?など、あらゆる疑問が思い浮かぶかと思います。

今回は、移住を検討しようとしている方や、将来老後移住したい方に向けてそれらの疑問にお答えし、老後の移住に必要な基礎知識を徹底解説します。

憧れの老後移住を、ぜひ前向きに検討してみましょう。

老後移住のメリット

老後の十勝の空撮の様子

そもそも、老後移住のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、あらためて老後移住のメリットについて考え、その素晴らしさについて紹介したいと思います。

生活コストを抑えられる

まず、都会での暮らしとはちがい、地方での暮らしでは生活コストを大きく下げることが可能です。月々の家賃が最たるもので、駐車場代も大幅に安くなることがほとんどでしょう。

移住を機に住宅を購入する場合も、土地の値段が東京などとはくらべものにならない程安くなります。地方の空き家問題を解決する「空き家バンク」を利用すれば、良い物件を相場よりさらに安価で賃借・購入でき、購入した場合も土地が安い分だけ固定資産税も安くなるため、生活コストを抑えられるといえるでしょう。

また、地方にはそれぞれ特産物があり、その地方でとれた食材は輸送コストがかからない分非常に安く、「産直市」などに立ち寄ればその安さに衝撃を受けるはずです。しかも、輸送に時間がかからないことで都会よりも食材が格段に新鮮で、食費を抑えながら健康的な生活も送れます。もちろん、新鮮なため都会のスーパーで並んでいるものより味も抜群です。

趣味を楽しむことができる

あなたの趣味はなんでしょうか?もしくは、定年退職後にチャレンジしたいものはなんでしょうか?山でのハイキングやキャンプ、海で一日中魚釣りをしたり、自家菜園もいいかもしれません。天気の良い日に軒下で読書も最高ですね。老後移住の主な目的は「好きなことを楽しむ」人生にシフトすることであると多くの人が答えます。これまでやりたくてもできなかったことにチャレンジできるのが老後移住なのです。

そもそも、今現在趣味がなくとも、老後移住することで新たな趣味や生きがいを見出すことは十分にできます。新たな環境で、新たな自分の可能性にチャレンジできることも醍醐味の1つといえるでしょう。元気なシニア世代が多い昨今、趣味を楽しみいつまでも若々しく暮らしていけるメリットが老後移住にあるのです。

落ち着いた環境で暮らすことができる

都会の喧騒から離れ静かな環境で暮らすことは、健康や幸福感を維持・向上させるうえでとても大切です。若い頃はにぎやかな場所を好んでいても、年齢を重ねるにつれ静かな環境で落ち着いた暮らしをしたくなるもので、それを叶えられることが老後移住のメリットといえるでしょう。

都会では車やトラックの騒音に悩まされますが、自然豊かな地方でそのようなことはなく、朝はウグイスやツグミなど鳥のさえずりで目が覚めます。やわらかな朝日が寝室に差し込み、窓を開ければ季節が「匂い」でわかり、ゆっくりとした時間が流れる中、常に自然体で生きていける静かな環境が地方にはあるのです。移住すると本当に実感できるのですが、そもそも空気や空の色が都会とはまったくちがいます。

モノやサービスは都会の方が多いかもしれません。しかし、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを得られる老後移住は、真に幸福な人生を送るのに最適といえるのではないでしょうか?

老後移住のデメリット

静岡県の電車21の様子

ここまで老後移住のメリットを紹介しましたが、ここからは老後移住のデメリットについても考えていきたいと思います。メリットばかりでなくデメリットについても考えておかなければ、理想の暮らしを叶えることはむずかしいかもしれません。

公共交通機関が発達していない

まず、デメリットとして挙げられることは、公共交通機関が発達していないということです。都会のようにどこへでも電車やバスで移動できるわけではなく、場所にもよりますが本数も多くありません。そのため、移住後に叶えたいライフスタイルを考えたうえで、移住先を選ぶ必要があります。

地方の中心地であれば車は必須とまでいえなくても、基本的に移動するには車が必要と考えた方がいいでしょう。買い物はネット通販などである程度カバーできますが、急な用事には対応できません。スーパーや病院、役所など徒歩圏内のみで生活に必要なものをすべてまかなうのは難しく、車がなければ少なからず行動を制限されるおそれがあります。

また、車を運転するにしても高齢者の事故や免許返納が推奨されていることもあり、公共交通機関が発達していない地方の移動手段については、移住後にどのような生活を送るかや、自分自身の行動範囲を事前に検討しておいた方がよさそうです。

病院が少なくもしものときに不安がある

都会よりも病院が少なく、もしものときに不安が残ることも老後移住のデメリットといえます。移動手段とあわせて、自分の健康状態から先々のリスクも考えて不安がある場合は、病院やクリニックに近い場所を選んだ方がよいでしょう。

病院とあわせて、介護が必要になったときを想定しておくことも大切です。移住先にどのような高齢者施設、介護施設があるのかや、訪問医療などに対応できるエリアかどうかも事前に調べておいたほうがいいでしょう。移住先候補の福祉課などに問い合わせてみるのもよいかもしれません。

新たな人間関係の構築が必要である

老後移住において、新たな人間関係の構築が必要であることもデメリットといえるかもしれません。新たな移住先においては、これまでの社会的な地位や肩書は通用せず、都会から地方への移住では慣習がちがうため戸惑うことも少なくないでしょう。また、人間関係が希薄な都会とちがい、特に田舎では人間関係の距離が近く濃密になりがちです。

ただし、別の側面からみれば、これまでのしがらみから解放されることも意味するため、デメリットばかりではありません。最初は苦労があるかもしれませんが、謙虚な気持ちでにこやかに接していれば大丈夫です。

都会から地方移住した方が陥りがちなことに、「都会では~」といった上から目線でつい話してしまうことがあります。本人にまったく悪気はなくとも、地元の人からするとあまり気分のいいものではないので、円滑な近所付き合いのためにも気を付けたい点といえますね。

失敗しない老後の移住先を選ぶポイント

ポイントテキストの様子

ここからは失敗しない老後の移住先選びのポイントを紹介します。理想の「セカンドライフ」を送るために非常に重要です。ぜひご覧ください。

移住者の受け入れに積極的な地域を選定する

移住先を選ぶ際は、移住者の受入れに積極的な地域を選びましょう。過疎化が進む地方では、移住者誘致に積極的な自治体が数多く存在します。その中から自分にあった移住先を選ぶことが重要です。移住希望者に対するフォローが手厚く、移住前からの相談窓口や、仕事のあっせん、住まい探しに協力してくれる自治体もあります。

移住の際に利用できる手厚い補助金や支援金、サービスなども各自治体によってちがいがあるので、どのような制度があるか情報収集しながら地域を選定しましょう。

医療機関が充実しているかを確認する

老後移住のデメリットでも紹介しましたが、先々のリスクを考えて医療機関が充実しているかどうかを確認することも重要です。もしものときスムーズに医療機関に受診できるかどうかを調べておきましょう。人口あたりの病床数が何床あるかも、医療機関が充実しているかどうかの目安になるため、確認できるとなおよいといえます。

また、介護が必要になったときを想定し、高齢者施設や介護施設なども調べておき、移住先の福祉政策も確認しておきましょう。移住相談窓口や、役所の福祉課などに聞いてみるとよいかもしれません。

移住前に短期滞在をしてみる

老後移住は人生の一大イベントです。ネットや移住相談などで情報を収集したのち、実際に短期滞在することをおすすめします。実際に滞在してみなければその土地の空気感はわからず、短期滞在してはじめて、「思っていたのとはちがう」ということもありえます。特に、気候や街の雰囲気、そこに住む人たちのことは現地へ滞在しなければわかりません。日常的に利用する店や施設などの距離感や移動手段など、事前に確認しておきたいことはたくさんあります。

自治体によっては、1週間程度を目安にした短期滞在に補助が出るケースもあるため、気になる移住先候補にそのような制度がある場合、積極的に利用しましょう。

老後移住におすすめの自治体

満開のさくら咲く高田公園のお堀と残雪の妙高山の様子

ここからは、実際に老後移住する際におすすめの自治体を紹介します。これまで紹介した情報を元に、自分にあった移住先をみつけましょう。

栃木県小山市

栃木県小山市は、日本経済新聞社が発表する「シニアに優しい街ランキングで全国総合2位に輝いた自治体です(1位は東京都板橋区)。東京都区部がランキング上位を占めるなか、地方都市である小山市が全国総合2位に輝いたことは快挙といえるでしょう。

特筆すべきは全国1位の「社会参加偏差値」で、多くのシニアの方が社会に参画し、活き活きとした日常を送っていることが評価されました。小山市老人クラブは社会奉仕活動をはじめ、地域の幼稚園児や小中学生との世代間交流、スポーツ大会や趣味や文化を楽しむサークル活動など多彩な活動をおこなっております。シニアの社会参画が充実している小山市は、これまでの経歴や知識を存分に活かせる移住先といえるかもしれません。

東京へのアクセスもよく、在来線で上野駅や新宿駅まで最短1時間強で移動できるアクセスの良さも人気です。東京で働くお子さんが両親の住む小山市へ行き来しやすく、その逆も可能であることは老後移住において大きな安心感を得られます。

栃木県小山市は、いつまでも元気に若々しく暮らしていきたい方におすすめの自治体といえるでしょう。

参考:栃木県小山市HP

石川県能美市

石川県能美市は、前述した「シニアに優しい街ランキング」の「医療・介護偏差値」で全国1位の自治体です。「総合偏差値」でも全国5位の実力であり、老後移住に最適な自治体の1つといえるでしょう。

能美市の中核病院である能美市立病院では、「地域医療連携交流会」を開催することで近隣の診療所と病診連携を密にする取り組みがおこなわれており、急性期から療養まで幅広い対応が可能です。また、糖尿病教室(現在は新型コロナウイルス感染対策により休講中)では、糖尿病の患者が糖尿病についての理解を深めるための勉強会がおこなわれております。

福祉にも力を入れており、市内の公衆浴場を無料または1回100円で利用できる「公衆浴場入浴サービス事業」や「配食サービス事業」など、市が福祉政策としておこなっていることが魅力です。さらに「緊急通報システム設置事業」では、緊急時においてボタン1つで緊急対応サービスセンターに直接つながり対応してもらえるため、万が一の際に安心できる制度があることも強みといえるでしょう。

「加賀百万石」の金沢市まで電車で30分、医療や福祉政策が充実している能美市は、高齢者が安心して生活できる移住先としておすすめです。

参考:能美市HP

新潟県上越市

新潟県上越市は、歴史が古く自然も美しい街として老後の移住先候補としておすすめできる自治体の1つです。上越市も医療・福祉が充実しており、病院の数や医師数・人口当たり病床数、老人ホーム定員数など、どれも全国平均を大幅に上回っていることから、シニア世代が安心して移住できる自治体といえるでしょう。

「地域包括支援センター」という高齢者に対する相談窓口が市内の各地区に設置されているため、日常の困りごと等があっても気軽に利用しやすいことが特徴です。また、70歳以上の方に配布されるシニアパスポートを利用することで、市内のさまざまなトレーニング施設や入浴施設などを特別料金で利用でき、民間の協賛事業所では割引を受けられるなど多くのメリットを享受できます。

歴史が古く、城下町であり市内に数多くの史跡が残っているため、歴史好きの方にもおすすめです。また、自然が美しい場所でもあるため、静かに暮らしたい方にも最適といえるでしょう。さらには米どころである新潟県ですから、日本酒の酒蔵が多く、ご当地グルメが豊富であることも強みといえます。

医療・福祉が充実しているのはもちろん、観光やグルメなど地域のポテンシャルが高く、魅力的な日常生活を送れることが上越市の最大の魅力といえるでしょう。

参考:上越市HP

老後移住にかかる費用

お金と家の様子

最後に、老後移住にはどのような費用がかかるかを紹介します。場所や環境によって変わるため一概にいえるものではありませんが、目安として参考にしてください。一般的には、移住費用として100万円以上用意すればスムーズに移住できるといわれています。

大切なことは、事前に計画を立て、毎月生活していくうえでいくら必要か把握しておくことです。せっかくの老後移住ですから、余裕のある資金計画をおこないましょう。

<引っ越し費用>
引っ越し費用は、移住先の距離や家財道具の多さによって変わります。また、3月から4月上旬など引っ越しが多い時期や、土日祝などは引っ越し費用の相場が上がるため、少しでも費用を抑えたい場合は、これらの時期や曜日を避けた方が無難といえるでしょう。

<住居費用>
家を購入するか賃借するかによって変わりますが、基本的に都会よりも安くなります。賃貸物件では、初期費用として敷金・礼金・仲介手数料などが必要です。なるべく安く抑えるなら各自治体の「空き家バンク」を利用するのがいいでしょう。駐車場代も都会より安くなることがほとんどで、なかには無料の物件もあります。そのため、車を保有するランニングコストは、都会より下げることが可能です。

<生活費>
食費は、産直市などを積極的に利用することで都会よりも安く抑えられます。水道料金に関しては自治体によって料金の幅が広く、一概にはいえないため事前にチェックしておきましょう。

注意しなければならないのが「ガス料金」と「電気代」です。都会の都市ガスとちがい、地方のほとんどが「プロパンガス」です。プロパンガスは都市ガスよりも料金が高いため、この点は注意しましょう。また、古民家などは気密性が低く冷暖房が効きにくい場合もあるので、電気代も上がる可能性があります。

日常の移動には車利用が多くなるため、駐車場代は安くなるもののガソリン代が多めにかかることも想定しておきましょう。

<その他の費用>
地方の、特に田舎では自治会や町内会に入ることが一般的です。加入すると会費が発生するため、その費用も考えておく必要があります。自治体によってちがいますが、月に数百円から数千円程度が多いようです。

老後移住でセカンドライフを楽しもう

新潟の穀倉地帯の高田平野の様子

都会の喧騒を離れ、静かな環境で好きなことをしながらのんびり生活する。老後移住は、誰もが一度は夢見るものかもしれません。しかし、理想の老後移住を叶えるためには、事前に知っておくべきことはたくさんあるともいえるでしょう。

これまで頑張った自分へのご褒美として、豊かなセカンドライフを送るための老後移住を、ぜひ前向きに検討しましょう。

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