新型コロナウイルスの影響により国をあげてテレワークが推進されました。それに伴い大手を中心にテレワークを導入する企業が増え、場所を選ばず仕事ができる新しい働き方が定着しつつあります。
勤務地の制約がなくなったことで都会から地方への移住を検討する人も増えています。
この記事では都会から地方への移住者が増えている理由や移住の心構えについて解説します。
テレワークの普及やコロナの影響により都心から地方へ移住する人が増えている
2020年4月に発令された緊急事態宣言以降感染拡大防止のためテレワークの導入が進み、場所に捉われることなく働けるようになりました。総務省が発表した「東京圏の転入者数,転出者数及び転入超過数の推移」によると、東京都への転入者数は鈍化し、転出者は2019年と比べて増加傾向にあります。
今まで首都圏や大阪、名古屋などの都心に住まなければ働けなかった人が、テレワークの普及をきっかけに地方移住へ関心を持ち始めていると言えます。
参考:東京圏及び東京圏の構成都県の転入者数,転出者数及び転入超過数の推移(2014年~2020年)
移住を検討する理由
これから地方移住を検討する人に向けて、都心から地方へ移住する理由を解説します。
テレワークになり出社する必要がなくなった
前段でも解説したとおり、勤めている会社がテレワークになり、出社する必要がなくなったことが理由として挙げられます。NTT(日本電信電話株式会社)は、コロナ終息後でも全社的にテレワークを基本とする働き方を導入する方針を打ち出しました。この動きは他企業への影響も与えられると言われています。
地方移住はコロナ禍による一過性のものではなく、これからのライフスタイルを踏まえた長期的な選択肢としてニーズが高まってくるでしょう。
実家の近い場所で暮らしたい
実家に近い場所で暮らしたかったのも理由の1つです。
実家に高齢の両親がおり、何かあってもすぐに会えるよう、実家に近い場所への移住を決断した人が多くいます。
自然が多い地方での暮らしに興味がある
自然が多い地方での暮らしたかったことも理由に挙がります。
人が多い都会から離れ、自然に囲まれて暮らしたいと思っている人は一定数いましたが、職場が都心にあり、どうしても都心から離れられずにいました。ですが、テレワークの導入が進み勤務地に制約がなくなったことから、自然に囲まれて暮らせる地方に移住する人が増えているようです。
子育てを機に移住した
子育てを機に地方へ移住を決断する人もいます。
やはり、都会は家賃などの生活費が高く、子育てにかかる費用とも合わせると家計の負担は大きくなります。そこで、生活費が安い地方に移住することで、家計の負担を減らしたいようです。
また、家計の負担を減らすだけではなく、自然が多い環境でのびのび育てることを目的に地方へ移り住む人もいます。
移住するための心構え
移住は住む場所が変わるだけでなく、生活スタイルや生活環境にも大きく影響します。移住して失敗ないためには、しっかりと事前準備を行うことが大切です。ここでは、移住するための心構えを解説していきます。
移住の目的を明確にする
まず、移住の目的を明確にしましょう。目的を明確にすることで移住候補地を絞れるからです。
例えば、子育てのための移住であれば家賃が安く自然が多い田舎が候補になりますし、サーフィンや登山など趣味のために移住するなら海や山に近い場所が候補になります。
このように、目的を明確にすることで住むべき場所がざっくりと決まります。移住地選びにかける手間を省くことができるので、事前に「なぜ移住するか」をしっかり考えましょう。
パートナーとの合意
パートナーがいる場合は、相手の合意も必要です。
移住は生活環境が大きく変わるので、人の心に与える影響は大きいです。「住みたくない場所に住む」というのは相当なストレスになるでしょう。
パートナーがストレスを抱えたまま生活すると、お互いの関係性も悪くなってしまいます。じっくりと話し合い、両者が納得した上で移住するようにしましょう。
移住先の情報収集を怠らない
移住先の情報収集は徹底的に行うようにしましょう。
交通手段の利便性や子どもがいる家庭なら保育園や学校、病院の場所などは把握しましょう。あまり情報収集をせずに移住すると「都心の近くなのに交通の便が悪い」「住宅街で自然が少ない」など、理想の生活が送れないかもしれません。
インターネットや情報誌でリサーチし、自分のイメージと合っているか確認することが大事です。
移住候補地の下見は何度も行う
インターネットや情報誌でリサーチに加え、候補地の下見も重要です。
インターネットや情報誌だけでは、全ての情報を手に入れることはできません。現地に足を運んでこそ、分かる活きた情報が多くあります。
例えば、移住した後に「治安が悪い地域だった」「騒音がする」など様々な問題が見つかることがあります。何か問題があっては、せっかく地方に移住しても、ストレスを抱えたまま生活することになります。
移住先の候補地には複数回訪れ、現地の情報を集めるようにしてください。
地方暮らしはのんびりではない
地方暮らしはのんびりなイメージがある方も多いと思いますが、意外と忙しいケースも多いです。
都心では近所付き合いはほとんどありませんが、田舎になればなるほど近所付き合いや地域活動が活発です。そのため、地域の行事に参加したり、定期的な集会に出席する必要があったりと、地域活動に時間を割かなければなりません。
大きな庭付きの家に住む場合は、草刈りや畑仕事などにも時間を割くことになります。決してのんびりできるわけではないので注意しましょう。
移動は車が必須
移動に車が必要になることも頭に入れておきましょう。
地方ではスーパーやコンビニが少なく、徒歩や自転車では買い物しづらいです。また、交通の便が悪く、地域内や地域外への移動も車がないととても不便です。
移動には車が必須であることを覚えておいてください。
地方で変化した暮らし
住む場所が変わると、仕事や生活環境など生活スタイルが大きく変化します。どのような変化があるかは事前に把握しておきましょう。ここでは、地方移住者の暮らしの変化を見ていきます。
家族と過ごす時間が多くなった
まず、家族と過ごす時間が増えます。都会では繁華街が家の近くあるため、家族ではなく友人と遊んで過ごすことが多いです。ですが、地方であれば、キャンプやガーデニングなど家族でできるアクティビティに参加する機会に多く巡り会えます。
結果、家族と接する機会が増え、自然と一緒に過ごす時間が増えるようです。
不便だけどすぐ慣れた
不便だけどすぐ慣れたという変化も見られます。地方では徒歩圏内にコンビニやスーパーがなく、都心に比べて買い物するのも一苦労です。また、電車やバスの本数も少なく、行きたい場所にすぐ移動できなかったり、終電を考えて早い時間に帰ったりする必要があります。
ですが、まとめ買いをして買い物や移動には車で移動するなどすれば、そこまで生活に困ることはありません。最初の数ヶ月は不便に感じるかもしれませんが、生活していくうちに慣れていくでしょう。
休日は趣味に没頭できる
休日は趣味に没頭できるという変化もあります。地方で戸建てに住む場合は、土地に余裕があるので自宅の広さにもゆとりがあります。そのため、趣味のためのスペースを確保し、好きなことに打ち込めます。
また、自然が多いので、サーフィンやキャンプなど自然と触れるアクティビティを思う存分楽しめます。
都会であれば、趣味のためのスペースを確保しづらく、自然を楽しむには移動時間があるためで、趣味に没頭することが困難です。
広い土地と自然がある地方ならではの良さと言えます。
自治体が実施する移住支援の種類
地方移住の支援は各自治体で行っているので必ずチェックしましょう。費用を抑えつつ移住することが可能です。ここでは、地方移住の際にどのような支援が受けられるのか紹介します。
住まいの支援
まず、住まいの支援があります。住宅の造営や増築、改築の際に発生する必要の一部を自治体に負担してもらえます。各自治体が力をいれている支援ということもあり、補助してもらえる金額が大きいのが特徴です。
「地方に家を建てたい」「リフォームしてきれいな家に住みたい」と考えている方とっては、金銭面で大きな助けになります。
ただし、支援を受けられるのは単身世帯や若者に限れらているケースが多いので、事前に自治体のホームページなどで条件を確認しましょう。
移住の支援
次に、移住の支援もあります。一定期間住むとすると住宅の建設費や家賃の一部を補助してもらえます。また、住宅や土地を無償で譲渡してくれる自治体もあります。
定住することが前提となっていますが、手厚い支援が受けられるのが特徴です。移住先が決まっている人は積極的に活用してみましょう。
ただし、支援を受けるためには十数年以上住み続ける必要があるケースもあり、他の地域へ移住するのが難しくなるデメリットもあります。
仕事の支援
仕事の支援も受けることも可能です。地方によっては企業の後継者不足が深刻なことがあり、移住候補地での就職や起業をサポートしてもらえます。
例えば、就職お祝い金を支給してもらえたり、職場までの通勤にかかる交通費などを補助してもらえたりします。また、仕事に就くためにイチから研修を行ってくれる自治体もあり、移住先で働くのを大きく手助けしてもらえるのが特徴です。
子育ての支援
子育ての支援を行っている自治体もあります。給食費や医療費の補助、入学金の負担などの金銭的支援を受けることが可能です。また、おむつなど育児に必要な物品を支給してもらえることもあります。
「地方で子育てしたい」「出産を機に地方に移住したい」という方には、積極的に活用してみましょう。
交通の支援
交通の支援も充実しています。通学や通勤の距離に合わせて交通費を一部支給してくれたり、定期券代を一部負担してもらえたりするなどの金銭的補助を受けることが可能です。
地方での生活は、仕事や学校へ行く交通費が高くなるのがネックですが、そこをうまくカバーしてくれます。
自分に合うライフスタイルを移住で叶えよう
これまでは定年後に地方でのんびり過ごしたいというニーズから、移住を検討するのは高齢者が中心でした。近年では働く場所を選ばなくなり、若年層でも移住を検討する人が増えているのは大きな変化です。
しかし、地方暮らしの良いイメージだけが先行してしまい、住んでみると後悔するケースも少なくありません。
今回紹介したとおり、まず「移住の目的」を明確にすることが大事です。その上で現地に訪れたり、自治体の支援などを調査したりするなど、自分のライフスタイルに合うかシミレーションをしっかり行うことが重要です。
地方暮らしのメリット、デメリットを踏まえて移住を検討しましょう。