移住コラム

地方起業のメリットとは?成功に役立つ支援制度も解説

「地方に移住して起業したい!」と思っても、「本当にできるのか?」「後悔しないか?」と不安を抱く人は多いはずです。もし失敗したら…と考えると、ためらってしまうのも無理はないでしょう。

そこで本記事では、地方起業は難しいことなのか自分なりに検討できるよう、地方起業の現状について解説します。どのくらいの人が開業しているのか、メリットやありがちな悩みなどを紹介。さらに、地方起業をサポートしてくれる助成や支援制度、移住に役立つ情報もまとめたので、起業に興味のある人はぜひ参考にしてみてください。

地方起業とは?3つのパターンを紹介

地方起業とは、その名の通り「地方で起業すること」です。お店を開業したり、会社を設立したりすることが該当します。また、ビジネスを始めるという視点で考えた場合、ほかにもフリーでWEBデザイナーやライターなどの仕事を始めることも該当します。

地方起業には3つのパターンがあります。出身地や地元など馴染みのある地で起業する「Uターン起業」、都市部出身の人が地方で起業する「Iターン起業」、そして地方出身の人が出身地とは別の地方で起業する「Jターン起業」です。一般的に多いのはUターン起業ですが、近年では移住支援が充実していることもあり、まったく知らない土地で起業するパターンも増えています。

地方起業する人は増えている?注目される理由

引用:第1部 令和元年度(2019年度)の中小企業の動向 第1-3-8図

2018年度の東京都の開業率は5.0%です。東京都よりも開業率が上回っているのは、埼玉県・千葉県・愛知県・福岡県・沖縄県の5県。この結果だけを見ると地方起業率はそこまで高くないように思われます。

しかし、地方開業は注目度が高まっており、今後増える可能性は十分にあるでしょう。なぜ注目されているのか、その理由を2つ紹介します。

働き方が多様化している

インターネットの普及により、テレワークやリモートワークが可能になりました。会社に出社せずとも仕事ができるので、住む場所に縛られることなく働けます。

インターネットを使って仕事をする職種であれば、比較的地方起業はしやすくなっていると言えるでしょう。

起業をサポートする自治体が多い

地域活性化を目的に、地方起業をサポートする自治体が多くあります。

例えば、固定資産税課税免除や創業関連保証の限度額拡大、会社設立時の登録免許税の軽減などがあります。また、創業セミナーを開催したり相談窓口を設置したりといったサポートを実施している自治体も少なくありません。

おかげで、地方起業の際にかかる初期費用を抑えることができ、ビジネスを始めやすくなっています。

移住したい候補地がある場合は、どのようなサポートを実施しているのか確認してみるとよいでしょう。

地方起業のメリット

続いて、地方起業のメリットについて見ていきましょう。地方起業には主に以下3つのメリットがあります。

  • 競合(ライバル)が少ない
  • 運営コストを抑えやすい
  • 地域の特性を活かしブランド化しやすい

それぞれ詳しく解説するので、地方起業に少しでも興味がある人は参考にしてみてください。

競合(ライバル)が少ない

地方は都心に比べると、競合する企業が少ないのが特徴です。顧客の奪い合いが起きるリスクが低いので、接客業や建設業など、人と接することの多い職種を起業する場合は大きなメリットになるでしょう。

例えば、カフェやレストランなどの飲食店の場合、都心に出店したとしても既に有名店があったり、競合他社が多かったりするものです。その点、地方は他の飲食店と被らない特徴をもちやすいので、同じジャンルがあっても差別化しやすくなります。実際に、都心から地方へと拠点を移したことで成功した事例もあるようです。

運営コストを抑えやすい

地方は都心よりも物価が安いので、運営コストを抑えやすいところがメリットです。東京都と神奈川県に関しては、家具・家事用品、食料など全体的に高めです。中でも、住居費は極めて高いので、都会でオフィスなどを借りると多額の費用がかかります。一方地方であれば、物価は安い傾向にあるので、大きなコスト削減につながるでしょう。運営コストは経費として計上できますが、そもそも収入を超えてしまえば元も子もないので、重視しておくべきポイントです。

また、人件費を抑えやすいところもメリットです。令和3年度(2021年)の東京都の最低賃金は1,041円ですが、神奈川県を除いた他の都道府県の最低賃金は1,000円以下です。800円代のエリアも多いので、地方で起業すると1時間あたり200円ほどの人件費を削減することが可能になります。

参考:都道府県別・10大費目別消費者物価地域差指数の構造により各都道府県を8つのタイプ(型)に分類

参考:令和3年度地域別最低賃金改定状況

地域の特性を活かしブランド化しやすい

地方には、その土地にしかない特徴があるものです。伝統的工芸品や文化、また特産品などさまざまあるでしょう。地域の特性を活かしてブランド化すれば、競合他社と差別化できるので、長期的・安定的な利益を得られやすくなります。

また、地元のために「町づくりに関わる仕事がしたい」という人にとっても、地域の特性を活かした名産品やサービスを提供できれば全国的に広められます。地方の活性化に大きく貢献できるでしょう。

地方起業をして後悔しない?ありがちな悩み

地方起業はメリットばかりでなく、リスクもあります。後悔しないためにも、ここではありがちな悩みを2つ紹介します。事前に知っておくことで、失敗を防げるかもしれないのでチェックしてみてください。

業種によっては新規参入しにくい

業種によっては、すでに地元に根付いている企業があるかもしれません。例えば、地元野菜を使ったレストランを出店したい場合、すでに同じようなレストランがあると、地域の大半のシェアを握っている可能性があります。また、地元農家から食材を集めるのにも苦労する恐れも。

新規参入しやすいかどうか把握するため、競合他社の数や状況などは、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

人材確保が課題になりやすい

地方は都心部に比べると人口が少なくなっています。加えて、若者不足が深刻化している地域もあるでしょう。そのため、求人に応募してくる人が少ない、必要とする学歴や資格をもっていないなど、人材確保に苦労する可能性があります。

また、起業する地域で利用されている求人サイトや転職エージェントなどが、必ずしもメジャーなものとは限りません。その地域で利用されている求人募集の方法があるかもしれないので、その辺りのリサーチも必要です。

地方起業を成功させるために利用できる支援制度・サービス

地方起業をしたい人が利用できる、以下4つの支援制度・サービスを紹介します。

  • 起業支援金
  • 移住支援金
  • 地域おこし協力隊
  • ふるさと回帰支援センター

支援金が交付されたり、有益な情報を得られたりするので、ぜひチェックしてみてください。

起業する事業者を支援する「起業支援金」

起業支援金とは、東京一極集中の緩和と地方における担い手不足の解消を目的に、UIJターンを促す「地方創生」の一環です。開業する地域や起業する業種に制限はありますが、条件をクリアすると最大200万円の支援金が受け取れます。(実際に交付されるのは、起業に必要な経費の2分の1に相当する額)

対象となる移住先は、東京圏(※1)以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域(※2)に住む人です。また、業種には「地域の課題解決に資する社会的事業」が対象で、具体的には子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進などが挙げられています。

(※1)東京圏とは?
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県

(※2)条件不利地域とは?
「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」
「小笠原諸島振興開発特別措置法」 の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く。)
【一都三県の条件不利地域の市町村】
・東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、
小笠原村
・埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、神川町
・千葉県:館山市、旭市、勝浦市、鴨川市、富津市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、東庄町、
九十九里町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
・神奈川県:山北町、真鶴町、清川村

引用:起業支援金

移住者を支援する「移住支援金」

起業支援金と同じく、地方創生の一環で行われている政策の1つです。東京23区に在住または通勤する人が、東京圏外に移住して、その地域での就業や起業を応援します。支援金の金額は最大100万円で、単身の場合は最大60万円が交付されます。

移住支援金の対象になるには、以下の条件すべてに該当しなければいけません。

  • 【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
  • 【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
  • 【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施

企業支援金と合わせると、最大300万円の支援金が交付されるので、地方起業を検討するならどちらもチェックしておきましょう。

引用:移住支援金

報酬を得ながら地方起業の準備ができる「地域おこし協力隊」

地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化が進むなど、さまざまな課題を抱える地方に移住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR活動、住民支援などの活動を行う取り組みです。任期はおおむね1年以上3年以下。地方自治体の委託を受けて活動する形となります。

また、協力隊として活動する間は活動費として報酬を得られます。活動費は地方自治体によって異なりますが、上限は480万円です。任期後は、起業希望者を対象にした補助制度を受けられるので、起業予定のエリアで協力隊を募集している場合はチャンスだと言えますね。

地域おこし協力隊の参加は、「ニッポン移住・交流ナビ」から申し込むことができます。活動内容や条件、待遇などから希望する自治体に申し込むことが可能です。選考の結果、合格となれば協力隊員として活動できます。

参考:地域おこし協力隊公式HP

参考:地域おこし協力隊

各自治体の担当者に移住相談ができる「ふるさと回帰支援センター」

ふるさと回帰支援センターとは、UIJターンを希望する人に、地方自治体と連携して情報を提供する団体です。東京都千代田区有楽町を本拠地とし、移住に関する相談や就活支援などを行っています。地方自治体の担当者に直接相談できるので、悩みを解決しやすいところが魅力です。

また、定期的に地方での暮らしや働き方などを紹介するセミナーを実施しており、オンラインでの参加も可能です。支援制度の活用術や起業の事例などを紹介してくれることもあるので、地方起業を目指す人にとって、有益な情報が得られやすいでしょう。

参考:ふるさと回帰支援センター公式HP

理想を現実に!入念に準備して地方起業を成功させよう

地方起業には競合(ライバル)が少ない、運営コストを抑えやすい、地域の特性を活かしブランド化しやすいなど、さまざまなメリットがあります。加えて、移住して起業する人をサポートする支援制度も充実しているので、少しでも興味がある人は前向きに検討してみることをおすすめします。

とはいえ、「移住後の暮らしが想像できない…」「地方起業で失敗したらどうしよう…」と不安を抱くこともあるでしょう。少しでも不安を軽減するために、今回紹介したサービスを参考にしながら情報収集をしてみてください。その土地に住む人の話を聞けたり、町づくりに協力しながら移住体験ができたりするので、地方起業における失敗や後悔が防ぎやすくなるでしょう。

移住に迷ったらまずはこれ!
LINEでかんたん移住診断。 何でも聞ける、移住の相談窓口 “スタイルチャット”を覗いてみる
インタビューバナーインタビューバナー
ABOUT ME
移住スタイル編集部
移住スタイル編集メンバーが更新します。移住をこれから検討する方のために、移住に関する、最新情報やノウハウをわかりやすく紹介します!
関連記事
移住に迷ったらまずはこれ!
LINEでかんたん移住診断。