地方移住では、家賃などの生活費を抑えられるイメージがある一方、実は、住む地域や住宅によっては光熱費が都市部より高くなることがあります。とくに、マンションから広い戸建てへ移る場合や、都市ガスからプロパンガスへ切り替わる場合、寒冷地へ移住する場合などは注意が必要です。
また、水道料金も自治体によって大きく異なるため、移住後に「思っていたより生活費がかかる」と感じるケースも少なくありません。しかし、住宅の断熱性能や設備を確認し、太陽光発電・エコキュート・蓄電池などを上手に取り入れれば、負担を抑えることも可能です。
今回は、地方移住で光熱費が高くなりやすい理由をはじめ、大阪市から愛媛県へ移住したライターの実体験、移住後の光熱費を抑えるための具体的な方法まで紹介します!
移住先でかかる毎月の生活費を具体的にイメージしながら、無理のない移住計画につなげていきましょう!
地方移住すると光熱費は高くなる?安くなる?
地方移住では、住まいの広さや住宅設備、地域の気候によって光熱費が高くなる場合もあれば、工夫次第で抑えられる場合もあります。まずは、都市部と地方で光熱費がどう変わりやすいのか、そのポイントを見ていきましょう!
都市部の賃貸マンションから地方の戸建てへ移ると光熱費が上がることもある
地方移住では家賃などの住居費が下がっても、光熱費まで安くなるとは限りません。とくに、都市部の賃貸マンションから地方の戸建てへ移る場合は注意が必要です。
光熱費が上がる主な要因として、住宅が広くなり冷暖房する面積が増えること、戸建ては外気に触れる面が多く室温への影響を受けやすいこと、移住先の気候や使用するガスの種類などが挙げられます。世帯人数が同じでも住環境が変われば使用量は変わるため、移住後の生活費は住宅条件まで含めて考えておきましょう。
マンションと戸建てでは冷暖房効率や使用する設備が大きく異なる
マンションと戸建てでは、住宅の広さや構造に加え、使用する冷暖房設備も異なるため、光熱費に差が出やすくなります。地方の戸建てはリビングが20畳前後など広いケースもあり、それに合わせて高出力のエアコンが必要になると、消費電力が増えやすくなるでしょう。
また、木造戸建ては築年数や断熱材、窓の仕様によって断熱性能が低い場合があり、冬場には石油ファンヒーターなどを併用する家庭もあります。その場合は電気代だけでなく灯油代も発生するため、移住前に間取りや断熱性能、必要な冷暖房設備まで確認しておくことが大切です。
太陽光発電などの設備によって戸建てでも光熱費を大きく抑えられる
戸建ては光熱費が高くなりやすい一方、賃貸マンションでは導入しにくい太陽光発電などの設備を取り入れやすいことがメリットです。発電した電気を自宅で使えば、電力会社から購入する電力量を減らせるため、気候条件や屋根の向きなどに左右されるものの、毎月の電気代を大きく削減できるでしょう。
さらに、蓄電池やエコキュートなどを組み合わせることで、発電した電気をより有効に活用できます。そのため、移住先を選ぶ際は、地域の気候や日照条件に加え、太陽光発電・蓄電池などへの補助制度の有無も確認しておきたいところです。住宅設備まで含めて比較すれば、移住後の光熱費を大幅に抑えることにもつながります。
地方移住で光熱費が高くなりやすい主な理由
地方移住で光熱費が高くなる背景には、住宅の違いだけでなく、ガスの種類や地域の気候、水道料金なども関係しています。ここからは、移住先によって光熱費・水道代が高くなりやすい主な理由を見ていきましょう!
都市ガスからプロパンガスに変わると基本的にガス代は上がる
都市部で都市ガスを使っていた方が、地方移住を機にプロパンガスへ切り替わると、ガス代が高くなるケースがあります。地方ではプロパンガスが広く使用されており、同程度の熱量で概算すると、一般的にプロパンガスは都市ガスの約2倍のコストになる計算です。
その背景には、各家庭へガスボンベを配送するための人件費や輸送費、保安管理にかかる費用などが料金へ反映されやすいことがあります。ただし、実際の価格は地域や販売事業者によって異なるため、移住先の物件を選ぶ際はガスの種類だけで判断しないことが大切です。プロパンガスの場合は、基本料金や従量料金まで事前に確認しておきましょう。
寒冷地では冬の暖房費が大きくなりやすい
寒冷地へ移住する場合は、冬の暖房費が大きくなりやすいことも気になる点といえます。気温の低い日が長く続くため暖房の使用期間が長くなり、1日の稼働時間も増えやすくなりがちです。リビングだけでなく、寝室や脱衣所など複数の空間を暖めるケースもあるでしょう。
さらに、寒い地域では石油ストーブを併用する家庭も多く、電気代とは別に灯油代が発生することもあります。移住先を選ぶ際は、住宅の断熱性能や暖房設備に加え、冬場の実際の光熱費まで確認しておきたいところです。
住む自治体によって水道の基本料金や使用料金が大きく異なる
水道料金は全国一律ではなく、自治体によって大きく異なります。4人世帯の平均使用水量は月23.1㎥で、国土交通省によると月20㎥使用時の水道料金は全国平均3,368円ですが、最も高い事業体では約7,000円です。東京や大阪などの大都市圏は比較的水道料金が安いため、場合によっては地方へ移住した際、水道料金の高さに戸惑うことがあるかもしれません。
一方、兵庫県赤穂市は家事用10㎥あたり374円と日本一安く、愛媛県西条市では「うちぬき」と呼ばれる地下水を生活用水に利用し、一部地域で上水道料金がかからないケースもあります。
ただし、下水道使用料や設備の維持費などが別途必要になる場合もあるため、単純に水道料金だけで判断するのは避けたいところです。移住先を選ぶ際は、自治体の料金表に加え、検討中の物件がどの給水方式に該当するのかまで確認しておきましょう。
参考:【兵庫県】赤穂市へ移住!日本一安い水道料金と京阪神へ至る新快速の利便性・瀬戸内海の自然を楽しめる歴史ある街!
参考:【愛媛県】西条市はランキング上位の移住先!西日本最高峰「石鎚山」や「水の都」として水道代無料エリアも
【移住ライターによる実体験】マンションから戸建てへ移住して光熱費はどう変わった?
ここからは、大阪市から愛媛県へ移住したライターの移住体験をもとに、マンションから戸建てへ住まいを変えたことで光熱費がどのように変化したのかを紹介します!電気代・ガス代・水道代の実例から、移住後の家計をイメージしてみましょう!
大阪市のマンション→愛媛県松山市のマンション→愛媛県東温市の新築戸建てへ
筆者は2014年、大阪市内のマンションから愛媛県松山市のマンションへ移住し、その後、東隣に位置する東温市で一戸建てを建てました。都市部のマンションから地方都市のマンション、さらに自然豊かな郊外エリアの戸建てへと住環境が大きく変化した形です。
参考:【移住体験談】大阪から愛媛県に移住した岡さんが移住を検討した理由とは?きっかけや方法を解説します
結論からいえば、水道代を含めた光熱費は大阪時代と比べてトータルで2倍以上になりました。ここだけ聞くと、「地方なのに都市部と比較して生活コストが見合ってない」と思われるかもしれません。ただその一方で、家賃や食費は大きく下がりました。とくに食費は、地元の産直市場がかなり安く、工夫次第で食費をかなり下げることも可能です。光熱費だけを見ると負担は増えましたが、生活費全体では地方移住ならではのメリットも実感しています。
電気代・ガス代・水道代はマンション時代からどう変わった?
まず、大阪市から松山市のマンションへ移住した際、電気代はほとんど変わりませんでした。一方、水道の使用量はこれまでと同じにもかかわらず、水道代は大阪時代の約3倍に。最初は請求間違いではないかと思ったほどで、自治体による料金差の大きさを実感しました。また、ガスも都市ガスからプロパンガスへ変わり、こちらの料金は約2倍高くなったことも印象に残っています。ちなみに、松山市でのマンションの部屋の広さなどは大阪で暮らしていたときと同じくらいで、そのときの生活スタイルも特段変わっていません。
ただしその後、東温市で新築した戸建てには4.2kWの太陽光発電とエコキュートを導入し、電気料金も従量課金からオール電化向けのプランへ変更しました。結果として電気代が大幅に安くなり、思わず「こんなに違うの?」と思ったくらいです。また、給湯をエコキュートへ切り替えたことでプロパンガスはキッチンコンロのみの使用となり、ガス代も松山市時代の半額以下まで抑えられました。
水道代は松山市時代とほぼ変わらず高いままでしたが、太陽光パネルの導入により電気・ガス・水道を合わせた光熱費全体では、大阪市で暮らしていた頃と同程度まで落ち着いています。
太陽光発電は売電収入も含め約7年で設備投資を回収できた
2016年に東温市で注文住宅を建てた際、4.2kWの太陽光発電を約98万円で導入しました。当時の売電価格は33円/kWhで10年間です。晴天がつづく8月には売電収入が月2万円を超える一方、2月ごろは約8,000円、梅雨時期も曇天が続けば売電額は一気に下がるなど、季節による差も実感しています。
土地探しでは、最初から発電量を意識して南向きで長時間日光が当たる場所を選びました。その結果、売電収入だけで約7年間で設備投資を回収でき、以降は売電分が実質的な収入となりました。もちろん、電力は自家消費が優先のため、月々の電気料金も今現在にいたるまで大幅に削減できています。
2026年に33円/kWhでの10年間の買取期間は終了しましたが、現在も買取先を変更して少額ではあるものの売電を続けています。ただし、現在の新規導入では売電条件が当時と大きく異なるため、同じ期間で回収できるとは限りません。地方で太陽光発電を検討する際は、導入費だけでなく日照時間や屋根の方角まで確認することが重要です。
大きな初期投資は必要ですが、売電収入はもとより長期間にわたり光熱費を大きく下げることができるので、これから地方移住して一軒家を購入予定の方は、ぜひ太陽光パネルの導入も検討してみてはいかがでしょうか?
移住後の光熱費・水道代を抑えるためにできること
地方移住後の光熱費は、住宅選びや設備の工夫によって負担を抑えられる可能性があります。ここからは、断熱性能や補助金、太陽光発電など、移住前から検討しておきたい具体的な対策を紹介します!
戸建ては価格だけでなく断熱性能や住宅設備まで確認して選ぶ
地方では、都市部より手頃な価格で広い戸建てを見つけられることがあります。ただし、購入価格だけで判断するのは避けたいところです。とくに中古住宅では断熱性能によって冷暖房効率が変わり、移住後の光熱費にも差が出てきます。
まずは物件資料や省エネ性能ラベル、住宅性能表示の有無を確認し、断熱性能の目安を把握しましょう。次に内見時には、窓が単板ガラスか複層ガラスか、サッシがアルミ製か樹脂・複合タイプかをチェックします。さらに、不動産会社や売主へ壁・天井・床の断熱材や過去の断熱改修について聞いておくと安心です。給湯器や設置済みエアコンの種類・年式も確認し、改修費や将来の光熱費まで含めて物件を比較しましょう。
参考:【暑い?寒い?】中古住宅・古民家への移住で必要!断熱リフォームの重要性とは!?費用や補助制度などを徹底解説!
自治体のリフォーム補助金を活用して住宅の断熱性能を高める※太陽光発電補助金にも言及
中古戸建ての断熱性能に不安がある場合は、国や自治体の補助金を活用してリフォームする方法があります。窓の交換や内窓の設置、壁・床・天井の断熱改修、高効率給湯器への交換などが補助対象になるケースもあるため、移住先の制度を確認してみましょう。
また、自治体によっては太陽光発電や蓄電池の導入費を支援している場合もあります。ただし、補助内容や申請条件は地域ごとに異なり、工事開始後では対象外になる制度も少なくありません。物件探しやリフォーム計画の段階から最新情報を確認し、利用できる制度を踏まえて資金計画を立てることが大切です。
話題のオフグリッド移住なら電気代を大幅に抑えられる
地方移住をきっかけに、電力会社の送配電網に頼らず、太陽光発電や蓄電池で電気をまかなう「オフグリッド移住」を検討する方法もあります。地方は都市部より広い土地や戸建てを選びやすく、屋根や敷地を活用して発電設備を導入しやすい点も魅力です。発電した電気を自家消費すれば、移住後に高くなりがちな光熱費の負担を大きく抑えられる可能性があります。
一方、夜間や雨天・曇天が続く時期まで安定して暮らすには、十分な容量の蓄電池や省エネ性能の高い住宅設備が欠かせません。完全なオフグリッドは初期費用も大きいため、まずは太陽光発電と蓄電池を導入し、購入電力を減らす方法から始めるのが現実的でしょう。移住先を選ぶ際は、土地の日照条件や屋根の向き、必要な設備容量まで確認しておくことが大切です。
参考:「オフグリッド移住」が話題!災害に強く既存電力網に頼らないエコな暮らしは電気代ゼロ円生活も可能!
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移住後の光熱費の変化を事前に理解して移住を実現しよう
地方移住では、住まいがマンションから戸建てへ変わったり、都市ガスからプロパンガスへ切り替わったりすることで、光熱費が想定以上に増える場合があります。一方、断熱性能の高い住宅を選び、太陽光発電やエコキュート、蓄電池などを活用すれば、負担を抑えることも可能です。
移住先を検討する際は、住宅価格だけでなく、地域の気候やガス・水道料金、住宅設備まで確認しておきましょう。移住後の毎月の支出まで具体的にイメージすることが、無理のない地方暮らしにつながります。
移住後の光熱費の変化を事前に理解して、最高の地方暮らしをぜひ実現しましょう!
※内容は2026年9月執筆時のものです。



