「自然とともに、電力を自分でまかなうエコな暮らしがしたい」。そういった思いから、今注目を集めているのが「オフグリッド移住」です。
「オフグリッド」とは、日常生活で消費する電力を電力会社に頼らず自給自足することであり、環境に優しくエコな暮らしの実現を目的としています。また、環境に優しいだけでなく、電気代の大幅削減や災害への備えなど数多くのメリットがあり、自然派思考の方はもちろん、多くの方にとって興味深いものといえるでしょう。
今回は、「オフグリッド移住」をテーマに、基礎知識とオフグリッド移住のメリット・デメリット、オフグリッド実現への準備、オフグリッド生活に最適なおすすめ移住先を紹介します!
ぜひあなたも自然豊かな地方へオフグリッド移住し、エコな暮らしとたくさんのメリットを享受しましょう!
今話題の「オフグリッド移住」とは?基礎知識と注目される理由を解説!
まずは、今話題の「オフグリッド移住」の基礎知識や注目される理由を解説します!オフグリッドを初めて聞いたという方はとくに必見です。ぜひご覧ください!
「オフグリッド」の定義
「オフグリッド(off grid)」とは、電力会社が提供する送電網(グリッド)と切り離され(オフ)、電力を自給自足している状態をさす言葉です。
家庭における電力の自給自足とは、主に太陽光パネルや家庭用蓄電池を設置し、太陽光パネルによって発電した電力を家庭用蓄電池で貯め、各家電製品を動かすことで成り立ちます。経済的なメリットや災害時に威力を発揮することから、ここ10年ほどで導入する方がかなり増えてきました。
一方、太陽光パネル発電による余剰電力の「売電」も可能で、2025年現在は1kWhあたり15円・買取期間10年間(出力10kW未満)となっています。そのため、容量の大きな太陽光パネルと家庭用蓄電池の同時設置によるオフグリッド(電気代ゼロ円)を目指すか、昼間の余剰電力を電力会社に売電し毎月収入を得るかの2択が可能です。
また、多くの自治体で太陽光パネルや家庭用蓄電池などの設置に補助金を出しており、初期費用が抑えられることも導入の追い風となっています。地方は日光をさえぎるような高い建物が少ないため非常に発電効率がよく、移住を機にオフグリッドを導入することは、長期的に経済的なメリットを享受できるためかなりおすすめといえるでしょう。
脱炭素社会・SDGsの観点から国際的な注目を集めている
オフグリッドは、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」や、「SDGs(持続可能な開発目標)」の観点から国際的な注目を集め、世界的に推進されています。空気中の二酸化炭素(CO2)の増加による温暖化・気候変動の影響はますます深刻化し、我々の生活を脅かしつつあることは周知のとおりです。真夏の最高気温の上昇や極端な豪雨など、もはや他人ごとではなくなりました。
オフグリッドな暮らしを実現することで少しでも二酸化炭素の排出量を減らし、未来の地球環境へ配慮することができます。このようなエコな暮らしは自分だけでなく、将来を担う子どもたちに対する責任といえるかもしれませんね。
広義には電力だけでなく水や食料などの自給自足も含まれる
オフグリッドとは、基本的には既存の電力網から脱却し電力を自給自足することですが、広義においては水や食料などの自給自足も含まれます。これらは究極の「エコな暮らし」といえるでしょう。
都会ではかなり難しいものの地方へ移住することで実現が可能で、実際に移住者がこれらを自給自足しているケースもしばしば見受けられます。井戸水を利用し家庭菜園によって野菜を育てるといった自給自足生活に、憧れをもつ方も多いのではないでしょうか?まずは電力からスタートし、それから水や食料の自給自足にチャレンジしてみるのもおもしろそうですね。
「オフグリッド移住」のメリットとデメリット
続いて、「オフグリッド移住」のメリット・デメリットも解説します!メリットとデメリットの両方を理解して、素敵なオフグリッド移住を叶えましょう!
【オフグリッド移住のメリット①】停電時も電力を確保できる
オフグリッドを導入することで、地震や台風などの災害時に送電網のトラブルによる影響を受けず、停電時でも電力を確保できます。
近年の大規模停電の一例として、2011年の東日本大震災の影響で東京電力管内を中心に計画停電が実施されました。オフグリッドを導入すれば既存電力網とは切り離されるため、このようなトラブルの影響を受けることはありません。停電のリスクを回避できることは、オフグリッド移住の大きなメリットといえるでしょう。
【オフグリッド移住のメリット②】光熱費を大幅に削減可能
光熱費を大幅に削減可能であることも、オフグリッド移住のメリットです。太陽光パネルによって発電し、それを家庭用蓄電池に貯めて昼夜問わず優先的に電力としてまかなうため、結果として電力会社から電力を買う必要がなく、電気料金がかなり安くなります。昨今の電気料金が上昇し続ける現状をみれば、最大のメリットといえるかもしれません。
また、大容量の発電・蓄電システムを組み、日照時間や気温などのさまざまな好条件がそろった場合、「電気代ゼロ円」も可能です。ぜひあなたもオフグリッド移住を通じ、夢の「電気代ゼロ円生活」を目指してみてはいかがでしょうか?
【オフグリッド移住のデメリット①】初期費用が高く知識やメンテナンスも必要
オフグリッド移住のデメリットとして、導入の初期費用が高く、ある程度の知識や継続的なメンテナンスも必要な点が挙げられます。
一般的な4kW~4.5kWの太陽光発電システムの場合、設置費用等を加えると総額100万円を超え、家庭用蓄電池であれば、蓄電容量によって約80万円~200万円が必要です。もちろん、各自治体の補助金を活用することで、出費を減らすことはできるものの、かなりの金額といえるでしょう。
また、オフグリッドの実現には周辺機器の操作方法や、電力に関する知識もある程度必要となります。さらに、太陽光パネルと家庭用蓄電池は、定期的なメンテナンスが必要であることも知っておきましょう。
【オフグリッド移住のデメリット②】天候によって発電量が左右される
オフグリッドに欠かせない太陽光発電は、天候によって発電量が左右されるため注意が必要です。そのため、曇や雨の日が続くと発電量が極端に減り、家庭用蓄電池があったとしても電気を使い果たしてしまうリスクがあります。
そのため、オフグリッド移住であっても、よほど大容量の太陽光パネルや家庭用蓄電池がないかぎり、リスク回避策として電力会社と契約しておくことは必須といえるでしょう。
「オフグリッド移住」実現のために必要な準備※できるところから少しずつ始める
ここからは、「オフグリッド移住」実現のために必要な準備を具体的に解説します!最初からすべておこなうにはかなりの予算が必要となるため、できるところから少しずつ始めていきましょう!
移住先の選定
オフグリッド移住の実現に向け、移住先の選定はかなり重要です。高効率な太陽光発電を促すため、日照時間が長い地域を選びましょう。
日本国内で日照時間が長いエリアは主に関東以南の太平洋側であるため、これらの地域を中心に移住先を選ぶのがよさそうです。
太陽光パネルと蓄電池の設置
続いて、太陽光パネルと蓄電池の設置をおこないます。予算的に同時設置が厳しい場合、まずは太陽光パネルを設置し、次に家庭用蓄電池の順番がいいかもしれません。
住宅用太陽光パネルは、屋根の大きさによって設置できるパネルの枚数(kWh数)が決まるため、中古住宅であれば屋根が一方向に傾斜した「片流れ屋根」がおすすめです。また、もっとも発電効率がよいのは南向きであり、南向きかつ、片流れ屋根であればベストといえるでしょう。
もし移住の際に新築住宅を購入予定の場合、おもいきって「オフグリッド住宅」を選ぶのもおすすめです。太陽光パネルや家庭用蓄電池などが最初からセットされており、「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」によってすぐにオフグリッド生活が実現できます。
広義のオフグリッド実現に必要なその他の準備
飲用水や食料などを自給自足する広義のオフグリッドを実現する場合は、飲用可能な井戸付きの物件や、家庭菜園や車の洗車などに使用できる「雨水タンク」、生ゴミを肥料として再利用可能な「生ゴミ処理機」などを検討しましょう。
広義のオフグリッドにおいて、どの程度まで自給自足を目指すかは個人の価値観次第です。無理をせず、できる範囲からチャレンジしてみるのがいいかもしれませんね。
「オフグリッド移住」に最適なおすすめ移住先5選!
それでは、「オフグリッド移住」に最適なおすすめ移住先を5つ紹介します!今回は、オフグリッドの実現に欠かせない日照時間や、補助金が充実している移住先をチョイスしました。ぜひ参考にしてください!
【山梨県北杜市】日照時間日本一!富士山の眺めと豊かな自然!
山梨県北杜市(ほくとし)は、太陽光発電に欠かせない日照時間の長さが日本一を誇り、富士山の眺めが美しい自然豊かな移住先です。日本の年間平均日照時間約1,800~1,900時間に対し、北杜市は約2,500時間と、晴天率の高さからオフグリッド移住に抜群の環境といえるでしょう。
また、豊富な水源を活かしミネラルウォーターの生産量も日本一あり、おいしい水とともに、そこから作られる地元野菜や蕎麦・日本酒などのグルメも充実しています。山梨県北杜市の豊かな自然環境で実現する、環境に優しいオフグリッドな移住生活をぜひ検討してみてください。
参考:

【長野県佐久市】真夏の夜にエアコンいらずの多核型都市!
長野県佐久市(さくし)は、市街地が広範囲に分布する「多核型都市」でありながら、同時に自然環境も豊かな移住先です。山梨県北杜市ほどではないものの、佐久市も全国トップクラスの晴天率を誇り、太陽光発電を主体としたオフグリッド移住に適しています。
佐久市は気象観測開始以降、熱帯夜(夜間の気温が25℃以上)を記録したことがなく、真夏の夜にエアコンが必要ありません。そのため、夜間電力消費を大幅に削減でき、他の移住先と比較してオフグリッドを実現しやすい移住先といえるでしょう。
参考:

【静岡県袋井市】若者が増え続ける街は日照時間もトップクラス!
静岡県袋井市(ふくろいし)は、県内における15歳未満の年少人口割合がトップで、若者が増え続ける注目の移住先です。こちらも日照時間の長さが全国トップクラスであり、さらに子育て支援も充実しているため、子育て世帯を中心におすすめのオフグリッド移住先といえるでしょう。
ちょうど東京と大阪のほぼ中間地点に位置していることから、となりの掛川市から新幹線で両大都市へ約2時間でアクセスでき、太平洋の海と田園風景やなだらかな山の景色、さらに市街地もある程度充実しています。静岡県袋井市は、オフグリッド移住に重要な日照時間の長さはもちろん、暮らしやすく若者が多い街であることもおすすめポイントといえそうですね。
参考:

【香川県高松市】温暖少雨な瀬戸内海はオフグリッド移住に有利!
香川県高松市(たかまつし)は、瀬戸内海沿岸の温暖少雨な気候条件が特徴の県庁所在地です。1年を通して気候が穏やかで過ごしやすく、のんびりとした暮らしが実現でき、雨が少ないためオフグリッド移住にもおすすめできます。
高松市といえば、「讃岐うどん」の本場として独自のうどん文化を堪能でき、四国第2の都市であるため生活利便性が非常に高く、海と山の自然の豊かさも魅力です。瀬戸内海に浮かぶ島々を眺めながらのゆったりとした移住生活は、エコなオフグリッド移住に相性抜群といえるでしょう。
参考:

【福岡県糸島市】オフグリッドに関する補助金の手厚さが魅力!
福岡県糸島市(いとしまし)は、白い砂浜と青い海が美しいリゾート地で、イギリスの情報誌が実施した「輝く小さな町ランキング」で世界3位に輝いた移住先です。糸島市はオフグリッド移住に欠かせない各種補助金が非常に手厚く、今回のおすすめ移住先としてチョイスしました。
糸島市では補助金として、太陽光発電の出力1kWあたり70,000円、家庭用蓄電池では1kWhあたり51,000円を給付してくれるなど、一般的な自治体と比較してかなり充実しています。補助金の活用により高額な機材購入のハードルが下がるため、オフグリッドを実現しやすい移住先としてぜひおすすめです。
参考:住宅用太陽光発電・蓄電池の自己所有設置に補助【令和7年度】
参考:

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「オフグリッド移住」で災害に強くSDGsな暮らしを実現しよう
地球温暖化や電気代の高騰などを背景に、環境に優しく経済的なメリットも享受できる「オフグリッド移住」が注目を集めています。既存電力網に頼らない暮らしは災害による停電にも強いため、今後ますます増えていくにちがいありません。初期費用は高額になるものの、自治体によっては補助金を活用できるので、できる範囲から少しずつ始めてみるのがよさそうですね。
ぜひあなたも、「オフグリッド移住」で災害に強くSDGsな暮らしを実現しましょう!
※内容は2025年6月執筆時のものです。